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  • 執筆者の写真藤田敬太

それは果たしてコロナのせいなのか 飲食店の夜の採算性

新型コロナウイルスは中小企業に様々なインパクトをもたらしました。個人事業主の多い飲食店はその中でも一番影響を受けた業種なのではないでしょうか。



新型コロナウイルスも昨年に5類に分類され、ようやく人が戻りつつあると言われています。東京に出張するたび、外国人旅行客も多いせいか、都心の飲食店はどのお店も予約を取るのが無難なほどにぎわいを見せています。私が昔住んでいた中目黒駅周辺で昨年出張時に、昔足をよく運んでいたお店に行こうとしたところ、満席で入れませんでした。10年ほど前に住んでいた際もそこそこな人気店でしたが、平日の夜に入れないことはなかったので、そう考えると人の多さは非常に目を見張ります。


しかし、地方都市(その中でも県庁所在地ではない人口10万人程度の都市)ではまだ人の回復が戻っていません。私が現在住む秋田県湯沢市や、中小企業の相談を受け持つ宮城県気仙沼市などを見ても、人は戻ってきていません。

コロナの影響による来店客の減少は、多くの事業者から相談で受けます。「コロナで人が出なくなり、コロナが終息したのに人が戻らず売り上げが回復しない」という相談は多くあります。

しかし、売上というより「利益」で見ると、果たしてすべてがコロナのせいなのかというとそうではないケースがあります。


以前コンサルティングをさせていただいている事業者で、「コロナ前と比べ、コロナ後は夜の外食文化がなくなり、夜の収益性が悪くなった」という定食屋さんがありました。

確かに昔に比べて外食文化は体感的に減ったような気がします。しかし、収益性が悪くなったのは「本当にコロナの影響か」と5年前までさかのぼって調べたところ、意外なことが判明しました。よくよく売上と利益を見ていると、コロナ前も売り上げはそこそこありましたが、「利益」で見ると採算割れしていたのです。


「コロナ後に確かに売上は落ちていたものの、もともと夜は採算からすると赤字だった」ということです。昼間の限られた昼食の時間帯における客の高い回転率に比べると、夜は回転率が落ちます。回転率の低さに加え、基本的にあまりお酒を出さない定食屋やラーメン屋などは夜の採算が悪くなりがちです。(逆に、酒を積極的に提供する店は、この悪化する採算を酒がカバーするので、黒かトントンになります)。


こうして改めて分析すると、もともと夜の採算性は悪かったため、夜の人件費の削減や効率的にお店を回していく対策、そしてある程度高い利益率のものを積極的に提供していく方向性にしました。


事業者の方も、コロナ前から夜は採算割れしているとは気づかず、数字を追って説明するとびっくりした様子でした。

もちろん、新型コロナウイルスによる負の影響は計り知れません。しかし、「それは本当にコロナだけのせいか」と改めて立ち止まって考えることも、時には有効なのかもしれません。

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