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  • 執筆者の写真藤田敬太

コロナがなかったら金利は上がらなかった?

因果律という言葉が哲学にあります。哲学で、「すべての出来事は、ある原因から生じた結果のすがたで、その間には一定の必然的関係があり、原因がなくては何ごとも起こらない」という原理です。また、同一条件下ではつねに同一の現象が起こるという法則でもあります。


私たちの生きる経済にもすべての結果には何かしらの「原因」があると考えていいと思っています。ただし、常に原因は「過去」にあり、歴史は二度と同じ条件で繰り返さないので、同一条件下で同一の現象が起こるかは残念ながらわかりません。


回りくどい言い方ですが、なんのテーマかというと、今回の日銀によるマイナス金利政策解除です。今回、大規模な金融緩和策の柱として2016年に導入された「マイナス金利政策」が解除され、2007年以来17年ぶりに利上げが決定しました。つまり、約17年ぶりに「金利のある世界」が戻ってきたということです。




今回の日銀の決定の背景には、賃金の上昇を伴う形で物価が安定的に2%上昇する「賃金と物価の好循環」が見通せるようになったと判断したからと言われています。果たして今回の現象が賃金と物価の「好循環」になるのかという本質はさておき、今回のキーワードは「賃金の上昇」です。


これまで物価に関してはデフレ経済でも一定でクリアしていた面がありましたが、賃金は失われた20年でした。私は2002年新卒で社会人になったため、まさに失われた時代に生きた社会人です。そのため、私が新卒時代とほぼ新入社員の初任給は変わらない状態で、全体的に賃金が「ベースアップしている」という感覚がよくわかりません。


この賃上げが昨季から一斉に切りあがり始めました。この賃上げ、少子高齢化による人手不足、円安加速など複数原因はありますが、その中の一つにあるのが、「世界的な物価上昇」です。歴史的な物価高騰が家計を圧迫していることから「物価高に負けない賃上げ」の機運が日本全体に波及し、「横並び日本」を象徴するかのように各社賃上げをしていきました。


そしてこの物価高、原因を探ると、こちらも、ロシアによるウクライナへの侵攻に伴う世界的な混乱や経済制裁、エネルギー価格の高騰などがありますが、そのうち大きな要因とされているのが、「新型コロナウイルス」とされています。コロナ禍によって工場を稼働できなかったり従業員が退職したりして生産能力が落ちた一方、巣ごもり需要の高まりなどによって需給のバランスが崩れました。そしてコロナ後に、コロナ禍で停滞していた経済活動が再開することで、需要が急激に高まりインフレを引き起こしたとされています。また、コロナによりアメリカのFRB(連邦準備銀行)が緊急の利下げに踏み切った(すなわち事実上のゼロ金利)ことにより、市場に余剰資金があふれたことも原因の一つと言われています。


このように、もとをたどっていくと、「新型コロナウイルス」にたどり着きます。もちろん、様々な原因が複雑に絡み合ったことで、今の「結果」が生まれているのであって、遠からずマイナス金利政策の解除はあったと思います。しかし、そのタイミングを結果的に「早めた」原因がコロナだったということはあながち間違いではなさそうです。

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